SDSの通知事項が追加へ 企業の化学物質管理はどう変わる?

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2026年9月28日、厚生労働省の労働政策審議会・安全衛生分科会(第189回)で、労働安全衛生規則を改正し、SDS(安全データシート)の通知事項を追加する省令案が示されました。

SDSの通知は、令和7年の安衛法改正で違反に罰則が設けられた義務です。今回の省令案は、その罰則付きの義務の内容を具体的に定めるものです。

本記事では、改正案のポイントと、管理職・人事担当者が今から確認しておきたい対応を解説します。

改正の背景

近年の化学物質管理は、事業者自身がリスクアセスメントを行い、その結果に応じて対策を選ぶ「自律的な管理」へ移っています。的確なリスクアセスメントには、SDSで正確な情報が伝わることが前提です。

令和7年の安衛法改正では、SDSの通知義務(安衛法第57条の2第1項)違反への罰則新設と、通知事項を変更した場合の再通知の義務化が定められました。今回の省令案は、そのうえで通知事項を追加するものです。

何が追加されるのか

労働安全衛生規則第34条の2の4を改正し、次の事項を追加する案です。

  • CAS登録番号などの識別番号:成分を特定できる固有の番号です。番号がない場合や、代替化学名等で通知する場合は対象外です。
  • 呼吸用保護具の種類:製品をそのまま、または取扱説明書に従って混合するなどして使用でき、使用時の成分組成が明らかな場合に、成分に応じた種類を通知します。防毒用の場合は吸収缶の種類も含みます。
  • 不適切な保護手袋の材料:成分が不浸透性の保護手袋の使用義務の対象物質である場合に、不適切な材料を通知します。記載先のウェブサイトのアドレスを通知することで代えることもできます。
  • 法令上の化学物質区分:危険物、特定化学物質、有機溶剤、リスクアセスメント対象物、濃度基準値設定物質、がん原性物質、皮膚等障害化学物質等、妊産婦就業規制物質などが挙げられています。定められた略称等で代えることもできます。

義務を負うのは誰か

SDSの通知義務を負うのは、化学物質の譲渡・提供者(製造者、輸入者、販売者など)です。企業の立場によって、対応は異なります。

  • 購入して使用する側:追加された情報を、リスクアセスメントや保護具の選定に活用する。
  • 製造・販売・提供する側:追加事項をSDSに盛り込む体制を整える。罰則付きの義務となるため、変更時の再通知の運用も含めた準備が必要。

自社が両方の立場になり得る場合は、両面から確認しておきましょう。

「SDSを保管するだけ」になっていませんか

次のような状態は、改正を待たずに点検が必要です。

  • SDSが最新版かどうか確認していない
  • 現場作業者がSDSを確認できない
  • SDSの情報と、実際に使っている保護具が一致していない
  • 新しい化学製品の導入を、安全衛生担当者が把握していない

現行法でも、SDSの通知事項の労働者への周知(安衛法第101条第4項)、リスクアセスメント(同法第57条の3)、化学物質管理者の選任(令和6年4月から義務)が求められています。「現場作業者がSDSを確認できない」状態は、すでに問題となるおそれがあります。

今からできる3つの対応

  1. 化学製品を棚卸しする:製品名、メーカー、使用部署、用途、SDSの有無を一覧にします。
  2. SDSと保護具を照合する:「昔から使っている」という理由だけで、呼吸用保護具や保護手袋を選んでいないか確認します。
  3. 連携を確認する:人事・総務、安全衛生担当者、現場管理者、作業者の間で、情報を共有できる仕組みを整えます。

管理職は、「何を使っているか」→「どんな危険性があるか」→「どう防護するか」 の3段階が社内でつながっているかを確認してください。

改正はいつから?

資料では、公布日は令和8年(2026年)10月、施行日は令和12年(2030年)4月1日が予定されています。施行まで時間はありますが、準備は段階的に進めておくとよいでしょう。

まとめ

今回の改正案では、SDSの通知事項として、識別番号、一定の場合の保護具に関する情報、法令上の化学物質区分が追加される方向です。通知する側は罰則付きの義務への対応が、受け取る側はSDSをリスク判断の情報として活用することが重要です。施行を待たず、自社の化学製品とSDS、保護具、作業手順の関係を確認しておきましょう。

※本記事は、2026年9月28日に諮問された省令案の資料に基づいています。公布・施行時期は予定です。最終的な内容は、公布された省令や厚生労働省の発表をご確認ください。

参考:厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案の概要について(諮問)(SDSにおける通知事項の追加関係)」第189回労働政策審議会安全衛生分科会 資料1-2
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001752901.pdf

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