高年齢者の労災急増中!「エイジフレンドリー指針」で管理職が今すぐやるべきこと

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「うちのベテラン社員は経験豊富だから大丈夫」——そう思っていませんか。

実は今、高年齢労働者の労働災害は他の年代に比べて発生率が高く、一度けがをすると休業期間が長くなる傾向があることが厚生労働省のデータから示されています。

こうした状況を踏まえ、令和7年(2025年)の労働安全衛生法改正では、高年齢労働者の特性に配慮した措置を講ずることが事業者の努力義務として規定されました。これを受け、2026年2月には厚生労働大臣が「高年齢者の労働災害防止のための指針(エイジフレンドリー指針)」を公表しています。

この記事では、この制度改正のポイントと、管理職・人事担当者が実務で押さえるべき対応、さらに衛生管理者試験で注目したいポイントを分かりやすく解説します。

高年齢者の労災、なぜ今問題になっているのか

少子高齢化が進む中、高年齢労働者はあらゆる業種で増え続けています。

一方で、高年齢労働者は若年層に比べて転倒や墜落・転落などによる労働災害の発生率が高く、災害が起きた場合には休業期間も長くなる傾向があります。

例えば、若い世代なら軽い転倒で済むような事故でも、高年齢者では骨折や長期療養につながるケースは少なくありません。

こうした背景から、令和7年の労働安全衛生法改正では、高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善や作業管理などの必要な措置を講ずることが事業者の努力義務として位置付けられました。

さらに、従来のエイジフレンドリーガイドラインを見直し、新たに法令に基づく「高年齢者の労働災害防止のための指針(エイジフレンドリー指針)」が公表されています。

「うちは大丈夫」が一番危ない―現場で起こりやすいリスク

現場では次のようなケースが少なくありません。

  • ベテラン社員だからと若手と同じ作業量・作業スピードを求める
  • 「本人が大丈夫と言っている」ことを理由に健康状態を十分確認しない
  • 暑熱環境で、高年齢者は暑さへの自覚症状が低下しやすい傾向があることを踏まえず、水分補給や休憩の声掛けを十分に行わない

エイジフレンドリー指針では、このようなリスクへの配慮が重要であることが示されています。

例えば、

  • 水分補給を積極的に勧める
  • 複数の作業を同時に行わせない
  • 無理な姿勢や重量物の取扱いを見直す

など、高年齢労働者の身体特性を踏まえた作業管理が推奨されています。

「経験があるから安全」という思い込みが、かえって事故につながることもあるため注意が必要です。

管理職・人事担当者が取り組みたい5つのポイント

エイジフレンドリー指針では、事業者に求められる対策として、主に次の5つの事項が示されています。

安全衛生管理体制の整備

経営トップが高年齢労働者の安全確保に取り組む方針を示し、実施体制を整備することが重要です。

安全衛生委員会などで、高年齢労働者対策を継続的に議題として取り上げることも有効です。

職場環境の改善

まずリスクアセスメントを実施し、その結果を踏まえて設備改善などの工学的対策を優先し、必要に応じて作業管理を組み合わせることが基本です。

例えば、

  • 階段への手すり設置
  • 段差の解消
  • スロープ設置
  • 移乗リフトやスライディングボードの導入
  • 暑熱環境で体温上昇を抑える機能を持つ作業服の導入

などが具体例として示されています。

健康・体力状況の把握

エイジフレンドリー指針では、身体機能の低下は20~30代から始まる場合があるとされています。

そのため、高年齢になってからではなく、青年・壮年期から継続的に体力や健康状態を把握することが望ましいとされています。

健康診断だけでなく、体力チェックや日頃の体調確認も重要です。

状況に応じた個別対応

体力や健康状態には個人差があります。

健康状態に応じて、

  • 作業内容の見直し
  • 就業上の配慮
  • 配置転換
  • 治療と仕事の両立支援

などを検討することが望まれます。

安全衛生教育

管理監督者への教育も重要です。

エイジフレンドリー指針では、管理監督者が高年齢労働者の身体特性を理解し、現場を確認しながら適切に声を掛け、安全な作業を支援することなどが推奨されています。

教育は座学だけでなく、現場での実践とコミュニケーションを組み合わせることが大切です。

中小企業向け支援制度

高年齢労働者への安全対策には設備投資が必要になることもあります。

その際は「エイジフレンドリー補助金」の活用も検討できます。

設備改善や専門家による指導などが補助対象となる場合がありますが、補助対象や要件は年度ごとに変更されます。

令和8年度の募集要領など、最新の制度内容を必ず確認したうえで活用しましょう。

まとめ

高年齢労働者への配慮は、単なる福利厚生ではなく、法改正によって事業者の努力義務として位置付けられた重要な安全衛生対策です。

「ベテランだから大丈夫」という考えに頼らず、リスクアセスメントに基づいて職場環境や作業方法を見直すことが重要です。

管理職に求められるのは、「ベテランだから大丈夫」という思い込みを捨て、リスクアセスメントに基づいて職場環境や作業方法、安全衛生教育を継続的に見直していくことです。

まずは、

  • 階段に手すりは設置されているか
  • 段差は解消されているか
  • 暑熱環境で十分な水分補給や休憩が確保されているか
  • 高年齢労働者の健康状態を把握できているか

といった身近な点から確認し、安全で働きやすい職場づくりにつなげていきましょう。

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