治療と仕事の両立支援が努力義務化!企業が今やるべき対応
カテゴリ: 【法改正・最新動向】
改正労働施策総合推進法(第27条の3)により、2026年4月1日から、職場における「治療と仕事の両立支援」が事業主の努力義務となりました。あわせて厚生労働省は「治療と就業の両立支援指針」(令和8年厚生労働省告示第28号)を2026年2月10日に告示しています。(厚生労働省)
罰則のある義務ではありませんが、「何もしなくてよい」わけでもありません。衛生管理者、人事・労務担当者、管理職が連携し、病気になっても働き続けやすい職場をつくることが今回の制度化の狙いです。本記事では制度のポイントと企業の実務対応を解説します。

何が変わったのか
事業主には、疾病・負傷の治療を受ける労働者について、就業による症状悪化を防ぎ、治療と就業を両立できるよう必要な措置を講じることが努力義務として課されました(労働施策総合推進法第27条の3)。具体的な措置は「治療と就業の両立支援指針」(令和8年厚生労働省告示第28号)に示されています。(厚生労働省)
対象は、がん治療中の勤務、定期通院、腎疾患等の継続治療、メンタルヘルス不調からの復職など幅広く、特定の病気だけを対象とした制度ではない点に注意が必要です。(治療と仕事の両立支援ナビ)
「努力義務だから対応しない」は危険
「病気なら休職するしかない」「他の社員との公平性がある」といった一律対応は、従業員の退職を招きかねません。勤務時間や業務内容の調整で両立できるケースも多く、両立支援は福利厚生ではなく人材流出を防ぐ人事・労務施策として位置づけるべきです。
企業に求められるのは、相談を受けてからの個別対応だけでなく、事前の体制整備です。
- 相談窓口の明確化:誰に相談すればよいか分かる状態にする
- 既存制度の整理:有給休暇、時短勤務、フレックス、テレワーク、休職・復職制度などを一覧化する
新制度を次々作るより、既存制度を治療と仕事の両立の視点で使いやすくすることが現実的な第一歩です。
衛生管理者の役割は「調整役」
衛生管理者は職場の健康管理・労働衛生を担うため、両立支援でも人事・産業医との連携が求められます。ただし重要なのは、衛生管理者は治療の専門家でも、就業継続の可否を最終判断する主体でもないという点です。
指針が想定する流れは、①本人が主治医から就業継続の可否や配慮事項の情報を得て事業主に提出、②事業主が産業医等から専門的意見を聴取、③主治医・産業医の意見と本人との話し合いを踏まえ事業主が最終判断、というものです。衛生管理者に期待されるのは、人事・産業医・事業主の間をつなぎ、判断プロセスが滞らないよう調整することであり、最終決定者ではありません。
よくある失敗パターン
- 制度があっても周知されていない:誰に相談すればよいか、どんな制度が使えるかを簡単に確認できるようにする
- 上司が病状を詳しく聞きすぎる:「仕事で困っていることは?」という姿勢にとどめ、医師のように病気を判断しない
- 「全員同じ扱い」にこだわりすぎる:治療の状況や必要な配慮は人によって異なるため、個々の事情に応じた配慮が必要
今から確認したい5項目
- 相談窓口は決まっているか
- 利用可能な既存制度を整理しているか
- 管理職への教育を行っているか
- 医学的判断(主治医・産業医)/最終判断(事業主)/調整役(衛生管理者)の役割を整理しているか
- 従業員に制度を周知し、「相談してよい」雰囲気を作っているか
まとめ
2026年4月1日から、労働施策総合推進法第27条の3に基づき、治療と仕事の両立支援が事業主の努力義務となりました。(厚生労働省 高知労働局) 「努力義務だから最低限でよい」ではなく、病気になっても働き続けられる職場をどう作るかを考える機会と捉えることが重要です。
人手不足が続く中、病気になった従業員を「働けない人」とみなすか「配慮があれば働き続けられる人」とみなすかは、企業の人材戦略にも直結します。まずは相談窓口・既存制度・管理職教育・衛生管理者と産業医の連携体制を点検してみましょう。厚生労働省が公開する「治療と就業の両立支援指針」(令和8年厚生労働省告示第28号)や参考資料も活用してください。(治療と仕事の両立支援ナビ)
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